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【水中分娩】コロナ禍のエストニア。水中出産で生まれる三女とママを支える、パパの気持ち

2021年8月のエストニア。コロナ禍で制限が多い中、水中分娩を支えるパパ・たろうさんの気持ちを綴った出産レポです。
「痛み」をお金に換金できるシステムがあれば、世の中のお母さんたちはきっと億万長者になっていることだろう。本当に頭があがりません。
と語る、たろうさん。三女となる娘さんの誕生は、パパの目にどう映ったのでしょうか。

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夜中の3時に、ちょこっとだけ高位破水。お産の進行はゆっくりめだったので、ヨメから「アンタは寝とき!」と言われるも、そうそう寝つけるものではない。

―15分後

寝息を立てているボクを見て、ヨメは呆れつつも少し眠れたようだ。朝、起きてきた子どもたちに状況を説明すると、小躍りして喜んだ。
神的な友達家族が、娘二人を預かってくれることになっている。まだ1歳にも満たない幼児+二人の子どもがいるにも関わらず、子守りを引き受けてくれた友達に感謝。計五人の子どもの面倒をみるのは、かなりの精神力がいるのに。

病院へ

娘たちを友達の家に送り、ヨメと病院へ向かう。
2021年8月のエストニアは、新型コロナウイルスの感染状況が悪化気味。病院内でも制限が多く、分娩の第一期後半(陣痛開始から子宮口が全開大)まで、付き添いの家族は病院に入れない(付き添えるだけマシかか。昨年の緊急事態宣言中は、一切の付き添いが認められなかった)。
また出産するヨメもボクも、新型コロナウイルスのPCR検査を受けなければならない(付き添えるんだったら10回でもやったる)。
既に病室で「ゔ-ゔ-」いっているヨメを心配しながら、入り口のベンチでテスト結果を待つボク。小さな町なので人も少なく、薄暗いロビーにいたのはボクだけだった。検査結果は、陰性。今までの陰性結果の中で、ぶっちぎりに嬉しかった。

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「これ、何十年前のだよ?」とツッコミみたくなるエレベーターに乗り込み、ヨメの元へ急ぐ。旧ソ連のエレベーターは、上がるスピードはおっそいくせに、停止時には急ブレーキをかけたような反動がある。こわっ。

分娩が始まる

ヨメのところにいくと、ゆったり会話ができないくらいお産が進行していた。あれよあれよという間に分娩へ。

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水中出産を希望したヨメは、ジャグジーバスのようなバスタブに入っていた。ボクは、ヨメのポジションに合わせて衛星のようにあっちこっちに移動する。
ここからは怒涛だった。
三人目だったけど、今までで一番痛かった」というヨメ。今まで聞いたことのない声(アレは声だったか?)を出し、今まで見たこともない顔色になりながらいきんでいた。「痛み」をお金に換金できるシステムがあれば、世の中のお母さんたちはきっと億万長者になっていることだろう。本当に頭があがりません。

赤ちゃんの頭が見えたら、終わりはもうすぐ。女の子の赤ちゃんが、助産師の手に支えられながら出てきた。胎脂に包まれた我が子は白かった。水中で生まれたので余計にそう見えたのかもしれない。生まれたての娘は、人生最初にして最大の環境変化を体験し、わけもわからない状況に泣き叫んでいる。次女は病棟全体に聞こえるんじゃないか?というくらい威勢がいい産声だったけど、三女は可愛らしい小さめの産声だ。4年前と同じ病棟の景色が、デジャヴのように蘇る。

生まれたばかりの子を抱く母親の姿は、神々しい。いや、てか神だろ?そんな神の胸から、地上人であるボクの元に小さな娘は渡された。ちっさっ!かるっ!3.8kgなので決して小さくないのだけど、4歳児や6歳児に慣れている身としては、新乳児はおそろしく小さく感じる。そして、おそろしく可愛い。

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ヨメが病院から送ってきた写真

生まれた!大変なのは、これから

まだ名前が決まってない娘を抱きながらこう思った。三人目も無事に生まれた。これから三人を育てていくため、以前にも増して気合を入れて仕事しまくるぞ!ではなく。仕事は一時停止(又はスローモード)、主夫業に集中するぞ!と。
出産という山場を越え、一見ゴールにたどり着いた気分になってしまうが、本当に大変なのはこれから。今後メンタルがごっちゃごちゃになるヨメと、今までにない喜びやストレスを感じる長女と次女。感情のジェットコースター期が家族にやってくる。赤ちゃんはそんなことおかまいなしに、「乳をくれ」と泣き叫ぶ日々。
うん、これ仕事フルでやるなんて無理ネ

赤ちゃんとヨメが病室に移動すると、ボクは娘たちを迎えに行った。次に赤ちゃんに会えるのは、お家に帰ってくる日だ。病院では面会できないことになっている
娘たちは、三姉妹になれたことに大喜びしていた。はやく会いたくて仕方がないし、母親にも会いたくてたまらない様子。母親の産後の体がいかに弱っているかとか、新型コロナウイルスのことなんて、娘たちには関係ない。WHY?WHY?WHY?が止まらない。
三人目にして初めて、生まれるまで性別がわからなかった今回は、あえて名前も考えなかった。この手に抱いて顔を見て、泣き声を聞き、こぼれ落ちそうなほっぺをすりすりしながら、きみの名前を考えようと思う。
ここ2,3週間、気を病むくらい天気が悪かったのに、きみが生まれた日だけメチャクチャ晴れたね。どうやったの?ボクが風邪でダウンしていた間も、待っててくれてありがとう。完全回復した翌日(しかも休日)にやってくるなんて、気遣いパーフェクトすぎやからw。ま、まさか。キミはて…天才? (親バカがもう始まってる)
晴れて五人家族になりました!新しい家族構成は、女女女女男です。

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元の記事:https://note.com/estonianlife/n/n71d48133b683

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ママーレコーレ編集部

ママのあれこれを皆でシェアしたい」という想いに共感して集まった、あれこれ肩書きを持った人たち。