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【普通分娩】パパから見た、助産院での出産

2010年10月28日(木)

出産予定日まであと2日。

予定日が1日違いだった永山マキさんは2週間前に既に産んでしまったし、妻の通うマタニティビクスなどの妊婦仲間たちも次々と出産。

病院からは、予定日1週間越えたらもう一度来るようにいわれたり、助産師さんからも「まあ、初産婦さんは大抵遅れますよ」といわれ、診察の予定を予定日の次の日に入れられたりして、ちょっと焦ったり、遅れるのを覚悟したり(でも、あまり遅れると病院出産になってしまう)。

私もそんなつもりで、いつもどおり出勤。
すると、ホームで待つ私に窓を開けた妻が「お印がきたー」とガッツポーズ(わが家は駅のホームから小道を1本隔てただけの2階なので、会話ができます)。
お印とは、お股から血が混じった液体がでてくる。
羊水が出てくる破水とは違います。破水の場合も一気に出てきてしまう場合とちょろちょろ出てくる場合とあるようですが、こちらは即出産準備。
もちろん、陣痛が先に来た場合も出産準備。
それに対し、お印の場合はそれから数日から1週間経っても陣痛がこない人もいるということで、とりあえず私は電車に乗って会社へ。

すると、早速妻からメール。陣痛らしきものが始まったけど、まだ様子見。
私も着いたばかりでまた帰るわけにも行かないので仕事。
当初聞いていたところでは、陣痛は10分間かくくらいから始まって、陣痛のある1分間は辛いけど、間の9分間は普通に暮らせるので、食事をしたり、家事を済ませたりして過ごしてください、ということだった。

しかし、妻の場合は陣痛の間隔が一定ではなく、5分をきっている場合もあるということで、とりあえず仕事の状況だけ担当者に伝え、今後の方針を立てた状態で早退する。

既に妻は立ち上がれない状態だということで、とりあえず助産師さんに電話する。「まだまだだよ」といわれるものの、辛そうな妻を見ているのも忍びなく、午後すぐにもう一度電話して、タクシーで助産師さんの自宅へ。

陣痛とは、子宮が胎児を出口に押し出そうとする運動で、胎児の出口を子宮口というが、それが徐々に延びていく。助産院で内診をしてもらうと、まだ子宮口は直径1~2cm。全開が10cmにもなるというからまだまだだ。
とりあえず、いろいろ検査をして、母親と子どもの状態を確かめる。
胎児は元気そのものです。一度、助産師さんの車で自宅に戻してもらう。
この時だけは何を食べてもいいということで、とりあえず、家にあるものを食べ、一応昼食らしきものを私が作って一緒に食べる。

でも、相変わらず妻は辛そう。あいにくの雨模様の天気で、しかも寒い。
自宅にいても落ち着かないし、何もできないので、電話をして、準備をして、タクシーを呼んで、助産院に向かう。
助産院の方が部屋も広いし温かいし、落ち着きます。それにしても、タクシーの受付はけっこう冷たい。
こういう時に冷たくされると悲しくなります。さらに、このとき来てくれた運転手さんは同じ市内なのに、道が分からずナビ便り。ちゃんとしてよ~。

助産院では「アクティヴ・バース」といって、陣痛中も妊婦が体を動かすことで、促進させるやり方を教わったが、もうとにかく妻は辛そうなので、本人が産みたいと思っていた体位もできずに、ずーっとお尻を落として耐えるだけ。
私たちがお世話になった助産院は、助産師さんの自宅だが、産後の入院のお部屋でそのまま産みます。


「バース・プラン」として、さまざまな要望どおりに環境を作ってくれるが、わたしたちは妻が持参したiPodで、湯川潮音のCDをリピートでかける。一番新しいカヴァーアルバムはまだ取り込んでいなかったようだが、歴代のCDが鳴り響く部屋。これだけ潮音ちゃんの曲を一度に続けて聴いたことはない。

そもそも、『逆上がりの国』はそうとう聴いたが、他のアルバムはそうでもなかったりして、ライヴでほとんどやっていない曲は覚えていないものもあり、かなり新鮮。なんだ、いい曲もっといっぱいあるじゃん、潮音ちゃんライヴでもやってよ、という感じですね。

Photo

出産の辛さは、よく「鼻の穴からスイカを出す」みたいにいうし、テレビや映画の出産シーンも大抵は最後の「いきみ」。
だから、本当にお股から赤ちゃんの頭が出るときが一番痛いというように思い込んでいるけど、そうではないようだ。
ともかく、子宮の収縮に伴う陣痛がいつ終わるともなく続くことが苦痛のようだ。
実際、なかなか子宮口は開かず、何度も助産師さんに内診で確認してもらう。「まだ3,4cm」、「ようやく5,6cmってところかな」、というやりとりの度に妻は「もういやー」。助産師さんは座ったままじゃ赤ちゃんが下りてこない、とアドバイスし、すでに何時間も痛みに耐えてきしんでいる体にムチを打って立ち上がって足ふみ。とにかく、痛みに耐えるのに必死でほとんど周りを受け付けようとしない。特に、私に対してはやさしく手を差し伸べても「触らないで!」と拒絶。私はともかく見守ることしかできません。

なにか状況を変えたい妻は、いままで通っていた針灸妊婦ケアの出張をお願いする。千歳船橋にある「ヒーリングゆう」さんはそもそもこの助産師さんの紹介。
なので、出産時の出張はたまにあるとのこと。結局、通常業務を終えて、店長さんともう一人のスタッフの人がたどり着いた頃には、もうどうしようもなく、でも日が暮れて赤ちゃんは下りてきて、まもなく子宮口は全開になります。私には触らせもしないが、プロフェッショナルには体を預けて、この2人の女性の介護の下で最後の段階に入る。子宮口が開いても、その先に会陰というまさに最後の出口がある。ここも直径10cmまで伸びないといけないのだが、これは赤ちゃんの頭で伸ばすのだ。つまり、赤ちゃんの頭を出すのが、「いきみ」だが、一気にいきんでしまっては会陰が破けてしまう。少しずつ、ゆっくりと、細かくいきんで頭を出す。

この作業がけっこう大変らしい。本人は会陰が伸びる痛みよりも既に蓄積している陣痛の痛みを終わらせたい気持ちの方が強いので、一気に赤ちゃんを出したいのだ。でも、妻が「いきみたいー」とか、「いきんでいいですかー」というのを助産師さんたちが制しながら、徐々に進行していく。

しかし、この時の妻の身体コントロールは見事だったらしく、助産師さんたちも「初めてとは思えない」と絶賛。しかし、最終的には頭が出ると同時に体ごと出てしまい、会陰には3箇所軽い傷がついてしまったようだ。それは妻のせいではなく、赤ちゃんのせい。お腹にいるときからなかなかいい脚力をしていたのだが、最後にお腹を蹴ってしまったようですね。
私が頭の出ている様子を見ようと思った瞬間には、全身が飛び出ていました。
そして、私の目に飛び込んできた「男性器」。
そう、産まれたのは男の子でした。

妻は先に性別を知りたがっていたようですが(そして男の子が欲しかったようです)、私の意志で、出産するまで性別は教えてもらわないようにしていました。
妊娠中の妻の顔つきとか、お腹の出具合とかで、「これは女の子かなあ」といっていましたが、男の子でしたね。
体重は2814g、身長は46cm。私はへその緒がつながった状態の彼を見て、ビックリ。まあ、小さいながら人間のパーツが出来上がっていることにはさして驚かなかったのですが、その顔つきです。
私の知っている赤ちゃんの印象は、ギャーと泣き喚くことで、顔がくしゃくしゃになり、客観的にはとても可愛いとは思えないものだったが、いきなり美しいのだ。
切れ長の大きな目で、とりあえず肺呼吸を始めるための産声は2,3上げたものの、その後は特に泣くこともなく、目を見開いて、初めて見る世界を冷静に観察しているのです。

Photo_2

結局、産まれた瞬間に到着したサポートの助産師さんに産後の赤ちゃんケアはお願いする。服を着せ、身長や体重、体温や血圧などを測る。あ、その前に赤ちゃんは疲れ果てた妻の胸に抱かれ、へその緒を切りました。
へその緒って切った状態ででべそになったりすると誤解していましたが、どこで切っても、余分なところは役目を終えると自然に剥がれ落ちるのだと。そして、赤ちゃんのケアをしている間に、メインの助産師さんは切ったへその緒を手繰り寄せ、妻の胎内から胎盤を取り出します。
いやいや、これも大きくて立派な臓器です。400mlほどの出血はありましたが、まあ標準の範囲ということで、かなり理想的な出産だったとのこと。

妻の要望どおり、妊娠が発覚してから禁酒していたこともあり、お祝いに買っておいたロゼのシャンパンで乾杯。
いやいや、ご苦労様でした。今回のところはそこまで。
夜に,暗めの照明だったので,いい写真は撮れていませんが,一応こんな感じで。





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ママーレコーレ編集部

ママのあれこれを皆でシェアしたい」という想いに共感して集まった、あれこれ肩書きを持った人たち。