【普通分娩】パパが記録する初産の流れ。オーストリアでは、ヘバメさんと共に ―後編―
2020年8月にオーストリアで初産を迎えた、新米パパ・むぎちょこさんご夫婦の出産レポ後編です。ドイツやオーストリアでは、妊婦さん雇った助産師さんが、産前産後のサポートをしてくれます。陣痛促進剤を使い、いよいよ赤ちゃんが生まれます。ぜひ、パートナーと一緒に読んでいただきたい出産レポです。
前編はこちら⇒http://mamarecolle.com/?p=3630
目次
- 午前2時半:陣痛始まる
- 午前7時:ヘバメさん到着
- 午前9時半:病院へ
- 午前10時頃:産婦人科の先生到着
- 午後1時頃:陣痛促進剤を使う
【後編】 - 夕方:逆さづりの妻
- 晩:気張りたい妻
- 午後11時半:ようやく10cmに近づく子宮口
- 午前0時過ぎ:産まれる
- 泣かない子
- 午前2時過ぎ:部屋へ
- 早朝:授乳訓練
- 昼前:家族への報告
6.夕方:逆さづりの妻
夕方のまだ明るい頃。
ヘバメさん「赤ちゃんの向きが違いますね…」
逆子ではなかったのですが、どうやら左右の向きが好ましくないらしい。
ヘバメさん「助っ人に手伝ってもらって、赤ちゃんの向きを変えたいと思います。いいですか?」
私たち「はい(よく分からんけど)。」
ヘバメさんが分娩室から出てしばらくすると、助っ人助産師さんと戻ってこられ、紹介を受ける私たち。
助っ人助産師「こんにちは!ヘルプに来ました!」
ヘバメさん「足を引っ張るので、逆立ちみたいにして揺らします。その後、猫のように四つん這いになって下さい!」
私たち「え?あ、はい…」
助っ人助産師「旦那さんは腰のあたりを支えて下さい。じゃ、いきますね~!それっ!」
グイッ!ゆっさゆっさ!
言われるがまま逆さになるも、体が重たくてか、疲れていて頭が回っていないのか、妻はうまく四つん這いになれません。
ヘバメさん&助っ人助産師「う~ん、猫みたいになるのよ!ほらもう一回!それっ!」「はいっ!猫みたいに!」
今度はクルッとひるがえり、四つん這いになる妻。
ヘバメさん&助っ人助産師「よっし!OK!イェーイ!」
なにがOKなのかよく分かりませんでしたが、とりあえず良しとしました。様子を見にきた産婦人科の先生がボソッと
先生「いい方向に向いたね。」
ヘバメさん「やった~!(キャピキャピ)あ!ごめんなさい!(はしゃぎすぎちゃった!)」
とりあえず、上手くいってよかった。
7.晩:気張りたい妻
妻「気張りたいよ~(汗)」
ヘバメさん「まだです!」
赤ちゃんを産む時に使う筋肉が、うんちをするときのそれと同じということで、子宮口が開くまでの時間は、ずっとうんちを我慢する感覚と聞いています。しんどっ!!
この頃、私がイガイガボールで妻の腰を押す力も徐々になくなってきていました。これはこれでしんどい!
8.午後11時半:ようやく10cmに近づく子宮口
徐々にしか広がらない子宮口が、ようやく10cm近くに開きました。
産科の先生が、そろそろやな!(予言通りっ!)という感じで入ってくる。ここからようやく、気張ってもよいと許可が下りた!気が付けば、日付けが変わりそうな時刻。
ヘバメさん「陣痛来るよ!気張って!」
妻「んん~っ!!」
ヘバメさん「気張って!」
妻「んんん~~っ!!」
ヘバメさん「陣痛の時だけでいいです。今は休んで~!」
ヘバメさん「はい、気張って!」
妻「んん~!!」
「妻が気張るときに、あまりにも私の手を強く掴むので引きちぎられそうでしたよ(笑)」なんて話を聞いたことがありますが、そんなでもなかった。長丁場で、疲労困憊だっただけだろうか。ヘバメさんは、頭が出てきている、髪の毛があると教えてくれたけれど、妻にも私にもわからないまま時間が過ぎました。
9.午前0時過ぎ:産まれる
もう1時間近く気張ってるけど、本当に産まれるのか?と思っていました。
先生「腕でお腹押すけどいいかな?」
妻「はい!」
ヘバメさん「いきんで~!」
妻「んーーー!!」
腕の腹で上から下へ撫でるように、でも力強く押す先生。これが効果てきめん!私から見えるくらいに頭が出てきた!
ヘバメさん「頭が出てきていますよ!もう少しですよ!」
先生「がんばれ!」
私「もう少し!」
妻「ぅんーーっ!!」
ちなみに、ここまでのやり取りは分かりやすさのために比較的成形された日本語にしていますが、本当のところは以下のような感じで、なかなかカオスだった。
ヘバメさん「すごい!すごい!アタマです!(日本語)もう少し力を入れて!(英語)」
先生「がんばれ!頭が見えているぞ!(ドイツ語)」
私「もう少しやで!(関西弁)」
妻「ぅんーーっ!!(原文ママ)」
というのがリアルな感じ。
10.泣かない子
思ったより頭が小さいなと思っていると、それは氷山の一角だった。ツルリンッと突然現れる人間の頭!!
「えぇ!?」と思っていると、更にズルンッ!と現れる赤ん坊!!
私「わぁっ!(なんていうかニンゲンって感じが… か,かわいくないかもっ!)」
ヘバメさん「産まれました!」
先生「産まれた!」
赤ちゃん「...」
私「産まれたよ!(あれ?泣いてないな?)」
妻「産まれたの?(あれ?泣いてないな?)」
管状の器機で、赤ちゃんの鼻を真剣にスコスコ吸う先生。
膜に包まれた赤ちゃん「(だんまり…)」
私「(ドラマとかだとすぐ泣かない?こんなもん?)」
妻「(いつ泣くの?なんかまずい?)」
先生「スコスコスコッ!」
赤ちゃん「… ウェッ!… ウェッッッ!」
私「(え?なんか吐きそうな感じの声なんだけど?)」
赤ちゃん「ウェェェンッ!」
私「(え?これって泣いたってことでいいのか?いいのか?)」
ヘバメさん「赤ちゃんでーす!」
妻の胸元に運ばれる赤ちゃん。カンガルーケアと言うみたいですね。正直なところ心の中で、これってかわいいのか?と思っていた。顔が渋すぎてかわいくない!
妻「かわいいね~… かわいいね~…」
私「うん(本当に?)」
11.午前2時過ぎ:部屋へ
ヘバメさんにより、ありがたくも無慈悲なくらいに着々と進められる出生届のための質問。疲れで朦朧とした意識の中で確認される、名前、住所、子供の名前などなど。
昼頃から待機してくれていた先生にお礼をいい、やっと妻と自分たちの部屋に戻った。時計は既に2時を回っていた。
12.早朝:授乳訓練
少しだけ休んだ後、授乳の訓練が始まった。早い程いいとのこと。当然、この段階で乳は出ないが、妻の脳に授乳が必要だと伝えるために、そして赤ちゃんには栄養が供給される場所を伝えるために、赤ちゃんを妻の胸に半ば無理やり押し当てる。
その間私は、オムツの変え方を看護師さんから教わり、胎便(※)を赤ちゃんから回収した。目はまだほとんど開いていない様子。目ヤニを小さなガーゼで拭き取ってやった。
(※)腸粘液や胆汁成分、飲みこんだ羊水などからなり、出生後に赤ちゃんが初めて排泄すると、ねばねばした黒っぽい緑色をしています。(日本小児外科学会より)
13.昼前:家族への報告
ちょっと落ち着いた頃、直接孫に会えない両親に連絡した。このご時世、すぐにテレビ電話ができるので本当に便利だ。時差だけ考えれば、すぐに顔を見ながら連絡が取れる。
妻の両親に連絡する少し前、さっきよりも赤ちゃんの目が大きく開いていた。今までは、目じりの辺りが目ヤニで引っ付いてしまっていたらしい。
あれ?かわいい?いや、これは… 確実にかわいい。間違いない!カワイイぞ!
元の記事:
https://note.com/mugichoko445/n/n8c1658dcca22
ママーレコーレ編集部
ママのあれこれを皆でシェアしたい」という想いに共感して集まった、あれこれ肩書きを持った人たち。